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蝦夷  人とは

『続日本紀』原文
巻卅六宝亀十一年(七八〇)二月丙午十一

丙午。陸奧國言。去正月廿六日。賊入長岡燒百姓家。
官軍追討彼此相殺。若今不早攻伐。恐來犯不止。
請三月中旬發兵討賊。并造覺鼈城置兵鎭戍。

<訳>
陸奥公(むつのかみ):紀朝臣広純が次のように言上した。
「去る正月二十六日、賊が長岡(宮城県古川市長岡)に入って民の家を焼きました。
官軍はこれを追撃しましたが、双方に死者がでました。若し今早々に征討しなければ、
恐らく賊の来襲・侵犯は止まないでしょう。
三月中旬に、兵を発して賊を討ち、併せて覚ベツ城を造り兵を置いて、鎮め守ることを請い願います」と。



<原文>
勅曰。
夫狼子野心。不顧恩義。
敢恃險阻。屡犯邊境。
兵雖凶器。事不獲止。
宜發三千兵。以刈遺蘖。以滅餘燼。
凡軍機動靜。以便宜隨

<訳>
天皇は次のように勅した。
「狼は子供でも野生の心をもって恩義を顧みない。
そのように蝦夷も敢えて険しい地形を頼みとしてしばしば辺境を侵犯する。
兵器は人を害する凶器であるがこの際使うこともやむを得ない。
よろしく三千の兵を発して卑しい残党を刈りとり、敗残の賊兵を滅ぼすように。
すべて軍事作戦の行動は、都合のよい時に、随時行なえ。」




ときの帝:光仁天皇(平安京を築いた桓武天皇の父)が言う「狼」とは、蝦夷をさします
卑しい残党とは、蝦夷をさします。

大和朝廷によって、辺境の地、陸奥方面(今の東北から北海道)においやられた民は、蝦夷と呼ばれ、
貧しいが心ゆたかに暮らしていました。
一方、都では、聖武天皇の国家鎮護を目的に造営された大仏に、多大な「金」を要しました。
もともと金を保有しない日本は、その確保を唐に頼らねばならず、莫大な年月と費用を要します。

そのとき振って沸いたのが、辺境の地、陸奥より算出された「黄金」でした。
天皇は、これこそ仏の加護と狂喜して、陸奥に遠征します。実際に赴くのは内裏に出仕する公家たち。
我が身の出世と保身と利欲に意欲満々な人間ども。

赴く先で、理不尽なやり方で、蝦夷を坑夫に使役し、蝦夷の方から抗ってきた、と罠をかけては、
蝦夷との小競り合いを繰り返し、蝦夷の娘たちは、朝廷の兵らの慰みものとされ(性の道具にされ)、
都でも蝦夷は野蛮で獣にひとしいものとされた。

もともと黄金など蝦夷にとっては無用のもの。

しかし、蝦夷を人としていない朝廷は、朝廷の権力拡大と黄金のために陸奥を蝦夷を征伐しようと、
それはもうもう気が遠くなる年月を費やします。

天皇が、同じ人間を「狼」「卑しい」と・・・
天皇という人材がいかなる程度の人物であったか。今と違って、情報、交通の発達のない時代とはいえ、
同じ人間を「あいつらは野蛮」「こっちはまとも」とする、それが天皇。。。


永年に及ぶ、朝廷の理不尽に、とうとう起ったのが、伊治公呰麻呂(いさちのきみ あさまろ)

『続日本紀』
陸奥国上治郡(伊治郡・これはる)の大領・外従五位下の伊治公呰麻呂が反乱をおこし、徒衆率いて按察使・
参議・従四位下の紀朝臣広純を伊治の城で殺した。


紀朝臣広純といえば、藤原仲麻呂らをはじめとした藤原天下の時代には出世の憂き目をみなかった紀の氏。
出世、権力、黄金、女に狂いまくった人生を陸奥で過ごす。
陸奥公・按察使・鎮守府将軍を兼任。参議上りつめる。

さらに『続日本紀』では
伊治公呰麻呂は俘囚(帰服した蝦夷)の子孫である。初めは事情があって広純を嫌うことがあったが、
呰麻呂は恨みを隠し、広純に媚び仕えるふりをしていた。広純はたいそう彼を信用して特に気を許した
と。

『続日本紀』では、呰麻呂をさんざん謀反人に仕立て上げているが、歴史書、つまり、残されているもの、
というのは、中央(朝廷)政府の歴史書ですから、当然中央の側にたって描かれた内容。
ウソがあること、裏があること、企みがあることは明白です。
むしろその逆を読めば、真実が浮き彫りになってきます。

歴史は常に、学校教科書は常に、中央政権の側から描かれたもの、、、
それを読み、教育を受けてきた私たち日本人。



高橋克彦氏の「風の陣」

「狼は子供でも野生の心をもって恩義を顧みない。
そのように蝦夷も敢えて険しい地形を頼みとしてしばしば辺境を侵犯する。
兵器は人を害する凶器であるがこの際使うこともやむを得ない。
よろしく三千の兵を発して卑しい残党を刈りとり、敗残の賊兵を滅ぼすように。
すべて軍事作戦の行動は、都合のよい時に、随時行なえ。」

光仁天皇からの勅書を陸奥国 紀広純は一気に読み上げ、「この通りじゃ!お許しを得たぞ」
広純の言葉に政庁(多賀城)は歓喜に包まれた。

一人、呰麻呂(鮮麻呂)だけは青ざめていた。
ぶるぶると体が震える。
[狼だと!卑しい蝦夷だと!]
信じられない言葉であった。
[朝廷に永年恭順してきた蝦夷を・・・刈り取って滅ぼせと言うのか!]
それが他でもない天皇の言葉なのである。
[おれは何のために堪えてきた!]
情けなかった。悔しかった。腹が立った。泣きたくなった。勅書をこの場で引きちぎってやりたくなった。
大声で喚きたかった。
[蝦夷は卑しい狼か!]
結局はそういう目でしか蝦夷を見ていなかったのか。薄汚い獣の仲間としか。
必死で鮮麻呂は堪えた。
怒りで我を忘れてしまいそうになる。
睨んだ広純の顔がにじんで見えるのは、堪えてもどうしようもなく溢れる悔し涙のせいだ。
鮮麻呂はうつむいて涙を隠した。

「今宵は多賀城挙げての祝宴といたす」
広純のはずんだ声に広場は沸き返った。
[こんな者どものために・・・・]
自分を殺していたと思えばめまいがする。
自分のこれまでがすべて無駄であった。
鮮麻呂の目からぼたぼたと涙がしたたった。

この世に蝦夷ほど哀れなものはあろうか。
獣とさげすまれたのである。


鮮麻呂の胸の中に激しい炎ほむらが生まれた。


ここで、現代人なら、日本なら「そこはうま~く一旦従って、あの明治の文明開化みたく、こっちから学んで
力をつけていきゃいいじゃん。時代も変わるよ、それが知恵というもの。むざむざはむかって死ぬことないよ」
と、だれもが思うでしょう。

でも、そんなもんだろうか・・・
人って、その時その時の窮地に際して、策士するばかりでいいのだろうか。


歴史上、蝦夷が選んだ道は、
恭順(降服)すれば、朝廷の支配のいいなり、ましてや相手は蝦夷を人と見ていない。お帝から「獣」とされた
のである。蔑みや貧しさにはいくらでも堪えられようが(それすら現代人には無理)、降服すれば、自ら獣と
認めることになる。それでは蝦夷の心が死んでしまう。

鮮麻呂の決起の後、ご存じのとおりアテルイ、そして安倍一族、さらには奥州藤原氏へとその想いは受け継が
れていきます。


呰麻呂(鮮麻呂)が、陸奥国 紀広純をあやめると決起した時のことば

「お帝(おかみ)は我ら蝦夷を卑しき獣と断じた。百年以上も理不尽に抗い(あがらい)もせず諾々としてきた
我ら蝦夷を、だ。我らがいったいなにをした?食う米を奪われ、娘らは兵の慰みものとなり、さもなきことで
命を取られ、少しでも異を唱えれば捕らわれて厳しい労役に回される(注:例えば、黄金採掘のためには、
夏でも凍るほどの水に腰まで浸かって半日以上を労役するという過酷なものでした)。おれには内裏こそ獣と
しか思えぬ。己らが獣ゆえに相手も獣としか見えぬのだ。そなたらの親や幼き兄弟は獣か?貧しい暮らしを
必死で堪え、ろくな衣も着られず、それでも親子で雨風をしのげる小屋のあるのを幸せと喜ぶ者たちが獣なの
か?欠けた椀を大事に使い、野の花を一輪摘んで飢えを忘れようとする女子供のどこが獣だ?一人も朝廷の兵
に殺されずに済んだ子らに看取られて死ぬことこそ無上の幸せと思う親のどこが獣なのだ。おれはその言葉を
決して許さぬ!どれほど苦しく切なくても笑いを絶やさぬ者たちを、なにゆえ獣と蔑み、根絶やしにせよと口
にできる。憎いならそれでいい。恐ろしいなら好きにしろ。黄金が欲しいなら奪えばいい。だが、獣と呼ばれ
てはこれまでに堪えて死んでいった者たちが哀れ。魂も浮かばれぬ。朝廷の心底はこれで見えた。この先、
何百年過ぎようとあの者らは蝦夷を人として扱うまい」

鮮麻呂から内密の決起を聞かされた少数の配下の者たち全員が溢れる涙を袖で拭った。
悔しいのである。悲しいのである。
獣と言われては生きている意味もない。

「今となっては、広純ごときになんの恨みもない。あの者はただの手先」
「が、あの者を殺せば、蝦夷らも心を一つにするしかなくなる。半端な心では朝廷に立ち向かうなど無理。
蝦夷を必ず、今以上の苦境に追いやることとなるであろうが、ここできっぱり悪縁を断ち切らずして未来は
ない。そのために広純の首を獲る。そのときより蝦夷の新しき道が開けよう」

「手柄などない。勝利の喜びもあるまい。おなじ蝦夷からも身勝手とそしられよう。双方から(蝦夷/朝廷)
裏切り者と見做される。それでも・・おれはやらねばならぬ。私怨でもなければ、己の大望のためでもない。
ただ風となる。蝦夷の心を一つにさせる大風となる」


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