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熱い漢(おとこ)たちの戦い  ―北の燿星アテルイ―

東北地方を舞台とした歴史小説三部作 ―「火怨」「炎立つ」「天を衝く」―
「火怨」-北の燿星アテルイ-を読みました。

同じ日本人が生きるこの国で、東北地方は
奈良時代から豊臣秀吉による東北攻めに至るまで、幾多の苦難の道を歩んできた地だといえます。
多くの東北の雄が散っていきました。


時は奈良時代から平安時代への転換期
日高見川(北上川)辺境の地、まつろわぬ民、蝦夷

奈良から平安にかけて、国は大きな転換期を迎えます。
平城京から長岡京、そしてさらなる遷都を目指す。
すべては国家鎮護のため。遷都には莫大な資金、また大仏造営には多大な金を必要とする。

金―そうです、東北といえば、金の埋蔵地。
朝廷は金のために東北に目をつけ、そこに暮らす蝦夷を征服しようとします。
蝦夷は人にあらず、獣である、と、蝦夷の脅威を民に植え付けることで皆の心を一つにする。
蝦夷討伐の大義名分が立つわけです。
つまり、黄金がほしいことと、遷都への民の協力を得るために、蝦夷討伐は行われた。
いわば蝦夷はお帝の犠牲のようなもの。


「火怨」の主人公であり、実在の人物である阿弖流為(アテルイ)は
わずか10代にしてその過酷な戦いに身を投じ、蝦夷の生きざまを見事に貫きます。
阿弖流為と最後まで人生を共にする母禮(モレ)もまた同じ。


征夷大将軍、坂上田村麻呂の降服の求めに対し阿弖流為は、
「降服はすべてを受け入れること。われらはそなたの仕える朝廷をあるじと認めておらぬ」
「蝦夷とは、都に暮らす者らと変わらぬ人にすぎぬ」

朝廷に人間扱いされず、一方的に攻められ続けても、彼らは蝦夷としての誇りのため、
蝦夷が人間だということを忘れないために戦い続けます。

阿弖流為と田村麻呂――敵同士でありながら、互いに「真の武者」と認め合う。

しかし、延々と続く闘いに、いつしか阿弖流為の心に深い墺悩が生じます。
自分たちを育てはぐくんでくれた大地のため戦ってきた、自分はそのために死ぬ覚悟がとうにできている。
しかし、子どもたちのことを考えると果てしなく続くこの戦いをどうすればいいのか
土地は荒れ果て、明るい未来は見えてこない・・・
子どもたちの代にまで戦いを強いていいのか?

阿弖流為は苦しみます。そして彼らの選んだ道に、・・・本当に泣かされました。

ただ猛然と戦うだけじゃない、本当の男らしさが、描かれています。
それは敵である田村麻呂を信頼している証拠であり、
敵味方関係なくわかりあってて、殺しあってもやっぱりわかりあっている。
その命のぶつかり合いのすさまじさに、どうしようもなく泣けました。

魂をかけて守らねばならないものがあると、
人はここまで強く清くなれるものなのか。
呆れるほどに純粋に、呆れるほどにあっぱれな生きざまに、打ちのめされました。


阿弖流為と母禮の最期は史実が残っており、ゆかりの地も残されています。

「火怨」本文より
2人は最後は都に連行され、さらに河内国(大阪)に移されて2日間埋められた後、処刑されます。
それを田村麻呂から苦悶の顔で打ち明けられる阿弖流為と母禮。
でも、阿弖流為と母禮は動じませんでした。田村麻呂の目から涙があふれます。
「そなたら・・・まことの男であるな」

(処刑場にて)

「俺の言葉が聞こえるか!」
阿弖流為は最後の力を振り絞って、処刑を見届けている民らに叫んだ。
「俺たちはなにも望んでおらぬ。ただそなたらと同じ心を持つ者だと示したかっただけだ。
蝦夷は獣にあらず。鬼でもない。子や親を愛し、花や風に喜ぶ・・・」

いくらでも言いたいことはあった。だがそれ以上声が出てこない。

「蝦夷に生まれて・・・俺は幸せだった。蝦夷なればこそ俺は満足して果てられる」


10代にして蝦夷の棟梁となり、22年。心やすまる時のない年月だった。



阿弖流為という名は『続日本紀』『日本記略』という古い文献2冊にそれぞれ1回だけ登場します。
歴史書というものは、後で後世に残るもの。
しかも国の歴史書となると、その時代背景にからむ重要人物によって、のちのち都合が悪くならないよう記されて当然。残る歴史書とはそういうもの。朝廷、時の権力者にとって都合よく偽造される。

ある人物、ある部分、ある地に関してはほとんど残されていないことがよくあります。
残っていない、、、そのことが正に真実の裏付けです。
残されていないがゆえにそこに真相がある。そう思います。

事実は謎です。でも、私は阿弖流為の生きざまが真実であったと信じます。

アテルイ わらび座 公演 http://www.warabi.jp/aterui2011/


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